…to be continued
1997年:熱狂と静寂のせめぎ合い
1997年のJ-POPは、熱狂と静寂がせめぎ合いながらバランスを保っていた。ヒットチャートはかつてない華やかさを見せ、CD売上総額は1998年にかけてピークを迎える直前だった。誰もが同じ曲を知り、けれど聴き方は人によって違う――そんな豊かさが、この年の空気を形づくっていた。
小室サウンドは絶頂期を迎えており、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」は約250万枚に及ぶ大ヒットとなった。globeの「FACE」や華原朋美の「Hate tell a lie」もミリオンセラーを記録し、打ち込みによる精密なリズムとメロディの高揚感に、映像やファッションを重ね合わせた小室サウンドは、まさに時代の象徴となっていた。
小室系の熱狂とは離れて、等身大の言葉や穏やかな感情をまっすぐに歌う楽曲も、多くのリスナーの心に残った。
Le Coupleの「ひだまりの詩」は、アコースティックな温もりと切ない歌声が多くの共感を呼び、SPEEDの「WHITE LOVE」は、冬の情景と純粋な想いを描いた世代的なアンセムとして、若いリスナーを中心に圧倒的な支持を集めた。
一方、ロックバンドたちも確かな存在感を保ち、小室系の華やかなポップスとは異なる表現でJ-POP界に豊かな多様性をもたらしていた。GLAYは「HOWEVER」の大ヒットで、率直な感情をストレートに歌う姿勢が広く共感を呼び、Mr.Childrenは「Everything(it's you)」で日常の葛藤や希望を歌った。
ベテラン勢も健在だった。小田和正の「伝えたいことがあるんだ」、松任谷由実の「幸せになるために」はTVドラマとともに、清澄なメロディと成熟した恋愛観が多くの共感を呼び、幅広い世代に浸透した。
さらに、奥田民生、スピッツ、THE YELLOW MONKEY、V6、SMAPといったアーティストも確かな存在感を示していた。若さと成熟、デジタルの熱狂とアコースティックな静けさ――これらの共存が1997年のJ-POPの豊かさを象徴していた。
次回は1996年にさかのぼり、"J-POP"という言葉が社会に広く意識され始めた背景を探ってみたい。