…to be continued
2001年:ミリオンの終わりと多様化のはじまり
2001年のJ-POPは、90年代後半の「ミリオン時代」の勢いを残しつつ、ヒットの形や音楽の作り方・聴かれ方が多方向に広がり始めた過渡期だった。オリコン年間シングルチャートではミリオンセラーがわずか2作に減少し、CD大量消費のピークが過ぎつつある兆しが見え始めていた。
浜崎あゆみ「Dearest」は壮大なバラードで喪失感や孤独を丁寧に描き、宇多田ヒカル「Can You Keep A Secret?」はデジタルサウンドと内省的な歌詞を融合させて共感を集めた。
一方で、R&Bやソウルの要素を取り入れたCHEMISTRY「PIECES OF A DREAM」や平井堅「Kiss of Life」などもヒットし、90年代の明快なポップス路線とは異なる感触を示した。こうした流れは、リスナーの関心が"わかりやすさ"や"勢い"よりも、歌の内面性や表現の質に向かい始めたことを示していた。
また、BUMP OF CHICKEN「天体観測」は、等身大の心情を誠実に描く詞世界で新世代の共感を得たほか、鬼束ちひろ「月光」は、2000年8月リリースながら2001年にドラマ「TRICK」との相乗効果でロングヒットを記録し、傷つきながらも強く生きる女性像を内省的に歌い上げた。
アイドル人気も依然として強く、モーニング娘。「ザ☆ピ〜ス!」のように、テレビ露出と連動した大型ヒットも健在だった。
2001年のチャートでは、バラードやR&B、ロック、アイドルソングといった異なる潮流が共存し、ヒットの構造が多層化しつつあった。この翌年以降、年間ミリオン作品はさらに少数化し、売上全体も緩やかに減少していく。大量消費から多様化へ——カリスマ的スターの時代から、より個々の表現や世界観が注目される時代への橋渡しとなった一年だった。
次回は、多くのミリオンヒットが街にあふれていた2000年へとさかのぼり、J-POPが最も華やかで、同時に変化の予兆を孕んでいた時代を見つめ直してみたい。