2009年:ケータイ文化の浸透による変革
2009年、シングルCD年間売上ランキングでは嵐の曲が上位を占めたが、その一方で、携帯電話を中心とした「ケータイ文化」の浸透と音楽配信の拡大によって、新たな動きが見え始めていた。
iモードやEZweb、Yahoo!ケータイなどの公式サイトを通じ、楽曲のサビやイントロをダウンロードして着信音として利用する「着うた」、曲全体をフルでダウンロードできる「着うたフル」が急速に普及したことで、CD販売とは異なるヒットの形が定着した。
従来のCD購入は店舗に出向く必要があったが、着うたはその場で購入できる利便性によって、特に若年層の音楽消費のスタイルを大きく変えた。株式会社レコチョクの2009年年間ランキングを見ると、「着うた」「着うたフル」ともに上位を占めたのは、CD売り上げランキングとは異なり、JUJU with JAY’EDの「明日がくるなら」とGReeeeNの「遥か」だった。
この他、B’z「イチブトゼンブ」、EXILE「ふたつの唇」、加藤ミリヤ×清水翔太「Love Forever」なども、テレビドラマや映画などのタイアップ効果によって、デジタル配信市場で圧倒的な人気を獲得した。これらの例は、着うたがCD発売に先行して楽曲の話題性を決定づける存在になった。
また、ケータイ配信の拡大は、ライブやテレビ露出に依存しないヒットの即時性を生み出した。ヒルクライムの「春夏秋冬」のヒットは、その代表例と言えるだろう。若者は気になる曲だけを個別に入手でき、アルバム全体を購入するよりもフレキシブルな消費が可能になった。
この傾向はその後、スマートフォンとストリーミングサービスの普及へとつながり、音楽体験のデジタル化を加速させる一因となっていった。
次回は2008年にさかのぼり、経済界で起きた出来事がJ-POP界に及ぼした影響をふり返ってみたい。