2025年:J-POPの最前線

2025年のJ-POPを眺めると、ネットの進化が音楽の聴かれ方や楽しみ方を根本から変えてしまったことに気づく。かつては、テレビやラジオのランキング番組で新曲が紹介され、それを追いかけるのが当たり前だった。しかし今はYouTubeやTikTok、配信サービス、アニメやゲームのタイアップなど、曲が届く入り口が無数にあり、新曲と過去曲が並んでヒットするケースも珍しくない。

例えば、Aimerの「Silent Solitude」(2018)はSNSでのカバー動画やアニメ記念アルバムを通じて新しい世代に届き、米津玄師の「Lemon」(2018)やRADWIMPSの「前前前世」(2016)も映画やドラマの再放送、配信をきっかけに再ヒットしている。こうした現象は、YouTubeや配信サービスがユーザーの視聴履歴や好みに応じておすすめする「アルゴリズム推薦」によって拡散されることも多く、ネット時代ならではの特徴と言えるだろう。

「Silent Solitude」Aimer

「Lemon」米津玄師

「前前前世」RADWIMPS

一方、新曲のヒットにもネットは欠かせない。アイナ・ジ・エンドの「革命道中 - On The Way」(2025)は、力強いボーカルと疾走感あふれるアレンジがSNSで拡散され、配信ランキングで上位にランクイン。Mrs. GREEN APPLEの「ダーリン」(2025)は、ポップでキャッチーなメロディと温かみのあるサウンドが幅広い世代に支持され、アニメタイアップやSNSでのシェアを通じて話題を呼んだ。こうしたネットを介した拡散力は、新曲と過去曲の両方が同時に多くの人に届く環境をさらに加速させている。

「革命道中 - On The Way」アイナ・ジ・エンド

「ダーリン」Mrs. GREEN APPLE

大規模フェスもコロナ禍を経て復活傾向にあり、フジロックでは山下達郎、佐野元春、甲本ヒロト、森山直太朗、山下久美子らが若手やバーチャルシンガーと同じ舞台で世代を超えたパフォーマンスを見せた。地域フェスも配信を通じて遠方のファンが参加でき、街全体が舞台になる臨場感を共有できるようになった。

さらにVTuberやバーチャルシンガーのライブでは、花譜や星街すいせいの歌声がキャラクターを通して人間味を帯び、視聴者はコメントやアバターで参加し、一瞬で宇宙や深海に舞台が変わる演出も楽しめる。リアルとバーチャルは互いに響き合い、音楽体験をより多層的で自由なものにしている。

「寓話」【Short Trailer】花譜

新曲の勢いと旧曲の再評価、コロナ禍を経て息を吹き返した大規模フェス、そしてバーチャルライブの進化。それらがネット文化によって交差している。それが現代のJ-POPの多彩な面白さだろう。

次回は、フェスでもベテランミュージシャンと同じ舞台に立ち、J-POPの最前線にいる存在となった"バーチャルシンガー"が、どのようにして存在感を増してきたのか、その萌芽を中心に2024年の音楽状況を探ってみたい。

...to be continued