「逆走」でJ-POP史を辿る旅

今、あなたのスマホにはどんな曲が入っているだろう。Mrs. GREEN APPLEやYOASOBI、Ado、King Gnu、米津玄師かもしれない。あるいはTikTokで知った新しいアイドルの楽曲かもしれない。私たちはいま、膨大な音楽の流れの「最新地点」に立っている。

けれど、最新のヒット曲の背後には、必ず「それ以前の音楽」がある。Adoのシャウトにはロックの血脈が、YOASOBIの物語性にはフォークや歌謡曲の影響が、髭男のピアノポップにはシティポップやブラックミュージックの遺伝子が潜んでいる。現代のJ-POPは、長い歴史の積み重ねの上に生まれているのだ。

例えば、国内外のフェスや海外メディアで高く評価されている彼女たちが今年リリースした曲にも、そうしたJ-POP のDNAは息づいている。

「from me to u」BABYMETAL × Poppy

BABYMETAL × Poppy「from me to u」は、メタルの重厚感とエレクトロポップのきらめき、英語と日本語を行き来する歌声――様々な点で国際的な広がりを感じさせる曲だ。破壊的なリフと耳に残るメロディが同居し、映像やステージ演出と一体になった表現は、今日的な新鮮さを放っている。

その一方で、かつての松田聖子のような覚えやすい旋律、宇多田ヒカル、浜崎あゆみの多言語性、サザンの言葉遊びや洋楽的な感覚、B’zのハードロックの力強さ、X JAPANの劇的構成、Perfumeのエレクトロと視覚演出の融合といったJ-POPの歴史的蓄積もしっかりと受け継いでいる。革新と伝統が交差し、現代性に溢れる作品として完成された曲だ。

このような視点で「J-POPクロニクル」は時の流れを「逆走」する。最新の曲から出発し、そこに埋め込まれた"ルーツ"をたどりながら、少しずつ時代をさかのぼっていく。聴き慣れたメロディやそれらが生み出したブームなどを手がかりに「その原点はどこにあるのか?」を追いかける。

歴史は、年表やデータだけではなかなか身近に感じられない。しかし、現在のストリーミング文化の前には、CDやカセットテープ、レコードといったフォーマットの進化があり、そこから音楽の聴き方や流通の形が築かれてきた。

宅録やDAWによる制作環境の前には、多重録音やアナログシンセの開発といった技術的試行があり、それらが現代の音楽制作の基盤となった。さらに、インターネットやSNSによる音楽の流通・発見の仕組みが成立する前には、ラジオやテレビ、雑誌といった情報媒体がヒット曲や音楽文化の広がりを担っていた。

こうして、今日のJ-POPへと紡がれてきた歴史の糸を手繰り寄せ、過去の音楽文化へとさかのぼっていけば、少しずつ、遠い日の歌も身近なものとして感じられるようになり、生き生きと聞こえてくるはずだ。そして、今あなたが聴いている最新の曲もまた、新たな風景の中で、より深く響いてくるに違いない。

…to be continued