1985年:ジャンルの融合――"J-POP"への助走

1985年のヒットチャートでは、「歌謡曲」と「ニューミュージック」といったジャンルの境界が揺らぎ始めた様子が表れている。ロックバンド、シンガーソングライター、アイドル、テレビ発のポップグループが同じ場に並び、従来の歌謡曲的なメロディに加え、シティポップやAORの影響を受けた洗練されたアレンジが広がり始めていた。

「恋におちて -Fall in Love-」小林明子
「あなたを・もっと・知りたくて」薬師丸ひろ子
「卒業」斉藤由貴

こうした曲で聴くことができる都会的なサウンドと親しみやすいメロディは、歌謡曲とニューミュージックの距離が近づいていることを示していた。

一方、テレビの歌番組ではロック系のアーティストも存在感を増し、ストレートなロックの熱量を持ちながらも、後々まで広く聴かれることになる人気曲も生まれた。

「ff(フォルティシモ)」HOUND DOG
「翼の折れたエンジェル」中村あゆみ
「六本木心中」アン・ルイス

さらに、C-C-Bのように、バンド形態でありながら徹底してポップに作り込まれた楽曲がテレビドラマを通じてヒットするなど、メディアと結びついた新しいポップスの形も現れていた。

「Romanticが止まらない」C-C-B(TVドラマ「毎度おさわがせします」主題歌)

こうして1985年は、歌謡曲、ニューミュージック、ロック、アイドル――それぞれ別の文化として存在していた音楽が、互いに影響を与えながら同じポップスの枠の中に入り始めていた時代だった。

この流れはさらに加速し、86年になると「ニューミュージック」という言葉は、特別な区分としての意味を急速に失っていく。そして、日本のポップスはひとつの大きな流れの中に溶け込んでいくことになる。

では、この少し前、日本のポップスにはどのような変化の兆しが現れていたのだろうか。次回は1984年にさかのぼり、アイドル、ロック、シティポップが入り交じり、日本のポップスが変わり始めた時代を探ってみたい。

…to be continued